ご挨拶

中村仁信

 老人医療費の増大により我が国の健康保険制度の財政負担にはますます歯止めがかからない中、近年、「健康寿命」の延伸を望む声が高まってきています。現在の統計から見ると、健康寿命と平均寿命の差は10年前後あり、その間は医療機関や家族などの手助けが必要で自他ともに多くの苦難を背負う期間となっています。

 米国イリノイ大学が発表した論文では、この期間を「レッドゾーン」と呼び、平均寿命の延長を目指すよりも、レッドゾーンをいかに短くするかが重要だと書かれています。今後は平均寿命から健康寿命に意識を転換してゆくことが大切であります。

 健康寿命を損なっている具体的な要因は、主に老人退行性疾患の放置にあると私どもは考えており、これに対する超早期介入を含む先制医療など従来の医療を拡大しての老化制御医療の実施、かつ、より多くの医療資源の投入が必須で、それがあれば必ず改善が図れるものと確信しています。

 日本老化制御医学会では、積極的な老化制御医療の実施により健康寿命の延伸に力を尽くして参ります。皆さまのご理解とご参加をお持ち申し上げております。

令和4年3月

一般社団法人 日本老化制御医学会

理事長 中村 仁信